業界特集
豊実精工 株式会社
掲載企業豊実精工 株式会社
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主要3品目
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精密金属部品加工
機械設計・組立
表面処理
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従業員数
260名(2025年4月現在)
グループ会社の利点を生かしオールラウンドに対応
設計、機械加工、組立 、そして完全クロムフリー表面処理ERINなどを手掛ける豊実精工株式会社が、新たな分野に挑戦している。それが精密洗浄だ。新規受託を画策していた案件が洗浄必須の部品加工であったため、新規サプライヤーを探していたところで出会ったのが、熱処理や洗浄処理を行う会社だったという。2024年に豊実グループに加わることとなった。「もともと大手企業のエレクトロニクス関連の洗浄などを請け負っていて、設備も技術も揃っている。当本業である機械加工に洗浄や熱処理が加われば、他社との差別化もできると判断しました。洗浄は未知の領域ですので、悩みながら挑戦しています」と語るのは代表取締役 今泉 亮太郎氏だ。
半導体製造装置や、検査装置、プリンタそして自動車業界では、それぞれに求められる洗浄のクオリティや性質が異なる。スパッタ除去、コンタミネーションの防止、バリ取りや脱脂といったものに限らず、鉛除去など顧客ごとに課題も除去物も異なってくるのだ。
製造業全体の傾向として、部品はますます精密さが増している。スパッタやバリといった製造工程内で発生したものに限らず、ちりやほこりといった微細な異物が、重大な品質トラブルを発生させる可能性が高まっているのだ。それに伴い、コンタミネーションの許容レベルはどんどん厳しくなっている。今後は半導体製造装置やプリンタ部品に限らず、自動車部品や電気製品などでも、精密洗浄に対する需要はさらに増すことが見込まれるのだ。同社では超音波洗浄を中心に、ブラスト処理やケミカルエッチング、金属膜はく離に至るまでオールラウンドに対応可能。製品特性や要求事項に応じ、適切な洗浄を提案してくれる。機械加工との組み合わせだけでなく、洗浄のみの受注も歓迎だという。
真空パルス洗浄は、真空環境と超音波洗浄を組み合わせることで、深穴、多孔形状の部品など、従来は難しかった複雑な形状を徹底的に洗浄したいというニーズにも応えることができる。洗浄ムラを最小限に抑えることで均一な洗浄を実現する球面波超音波装置、超音波の効果を最大化して、微細な汚れを徹底的に除去する羊羹型分割式振動子など、洗浄装置も充実。またコンタミが厳しいものについては、クリーンルームでの純水超音波洗浄(純水:0.2μS/cm)、クリーンオーブン乾燥から真空梱包まで行うことで万全のコンタミ対策が可能だ。自動車部品での実績もあり、顧客から高い評価を得ている。
水系洗浄だけでなく、炭化水素や硝酸などの強い薬剤を用いた洗浄にも対応しており、オールマイティな使い方が可能。「例えば真空パルスは、細かな穴がたくさん開いている形状の部品を製造する顧客から定期的な引き合いを頂いていますし、顧客の課題にさまざまなパターンがあると実感しています。部品加工とはまた違っているので、いろんな方にアドバイスを頂きながら、検査体制なども充実させていきます。」(今泉氏)と、今後も顧客ニーズをつかみながら、体制を強化していくという。


他の洗浄専門企業と異なるのは、豊実精工株式会社が機械加工を主として行っている企業という点だ。洗浄装置を自社で製造することができる。定期的な受注が見込めれば、製品に合った洗浄装置を自社で製造し、洗浄することも視野に入れているという。グループ企業化しているからこそ、コストを抑え、価格を低く設定することができるのも強みだ。グループ企業の拠点をフォローアップとして活用することで、営業範囲を拡大させていくという。「既存のお客様に対しても、新しく洗浄を提案できるようになり受注を頂くことも増えてきました。機械加工の会社で、焼入れと洗浄、黒染めまで内製化している会社はなかなかありません。特徴の1つとして強みになっています」と今泉氏。相乗効果で、さらに事業の拡大をしていきたい考えだ。
豊実グループは「全産業の駆け込み寺」、そして世界を目指す
表面処理も洗浄も、製造工程の中では中間工程にあたる。製品の製造そのものがなければ受注量は増えないというのが宿命だ。今泉氏はこの構造自体を変えなくてはならないと決意し、豊実グループでは新規事業の立ち上げも積極的に行っている。その一つが、AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)だ。低価格で、中小規模の工場でも導入しやすく省人化の助けになる。自社の課題は、やはり他にも困っている他社がいるという証。人手不足、人件費高騰といった産業界全体の課題にも取り組んでいる。
豊実グループが部品加工や表面処理に留まらず、洗浄など業種の幅を広げていくのは、「全産業の駆け込み寺を目指す」というキーワードに基づく。そしてその先に見据えるのは、世界だ。
「お客さまに、最終的にはやっぱり豊実さんだよねって言ってもらいたい。ですので全ての産業のノウハウを蓄積し、メーカーとしての力をつけていきたいと考えています。日本は技術を持っていますが市場規模は限られている。世界の市場を取っていける体制を構築していく転換期にあると思っています」2025年、新たに代表取締役に就任した今泉亮太郎氏の挑戦は、これからが本番だ。
