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DLCコーティングの実績トップ企業|表面改質にこだわり、プラスアルファの特性付与で更なる付加価値を

DLCコーティングの実績トップ企業|表面改質にこだわり、プラスアルファの特性付与で更なる付加価値を

株式会社 東研サーモテック

掲載企業株式会社 東研サーモテック

主要3品目
  • PVD・DLCコーティング処理

  • 多結晶ダイヤモンドコーティング処理

  • 金属熱処理全般

日本におけるDLCコーティングのトップを走り続ける

大阪府寝屋川市に本社を置く東研サーモテックは創業100年を超える金属熱処理の草分け的企業。その東研サーモテックがドライコーティングに着手したのが1986年。以来、40年に渡って、日本でトップを保ち走り続けている。

ドライコーティングは真空中でプラズマ放電の電気的作用を用いて薄膜を作る表面処理技術だ。「熱処理とドライコーティングは技術的に乖離があると思われていますが、当社では真空やコーティングする素材への知見があるので、親和性が高い。『表面改質』にこだわり、前処理・後処理まで全て含めて提案ができることが強みです」と語るのは高橋顕氏だ。

素材、調質の観点、加えて表面解析という観点から網羅的に把握する。それは東研サーモテックがドライコーティングだけではなく、熱処理を長く追及してきた蓄積があってこそ。表面改質に求められるのは顧客が何を求めているのかを的確に知る「会話力」であり、定量化して評価した上でブラッシュアップする「提案力」。この2つを兼ね備え、顧客からの信頼を勝ち得てこそ、東研サーモテックは現在の地位を確立しているのだ。

「剥がれやすい」イメージを払拭へ
大きく進化したDLCコーティング

DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングは、非常に硬く、耐摩耗性に優れる。摺動面などに用いることで、一般的な鋼材よりも長寿命化が期待できる。しかし、かつてのDLCコーティングは密着性が弱く剥がれやすいことが課題であった。

契機となったのは、2000年代にドライコーティングの付加価値が認められ自動車部品に採用されたことだ。より硬く、より低摩擦で、より耐熱性を上げるべく、さまざまな膜種が開発された。自動車・部品メーカーと共に研究・開発を行い、多くの生産実績を積んだことで知見が深化。技術の進歩とともに裾野が広がり事業が拡大した。DLCコーティングは飛躍的な進化を遂げたのだ。

DLCコーティングは自動車を始め、さまざまな機械・部位に使用されている

DLCは膜単体では成膜しない。ごく薄い密着層を作りDLCコーティングを行うため、密着層を素材や使用環境に合わせて選択することが重要となってくる。そのためには使われる環境を正しく把握することが大切となり、ノウハウが生きてくるのだ。「我々からすると、昔のDLCと今のDLCは全く別物。例えばステンレス箔にDLCコーティングしたサンプルなどを用意していますが、曲げても折っても剥がれません。以前チャレンジして、剥がれやすいというイメージをお持ちの方にぜひ再度見て頂きたい。」と高橋氏は胸を張る。

ドライコーティングは製造工程の最後のプロセスで行われる。厳しい自動車の品質基準に適合すべく、場合によってはクリーンルームを用いるなど、製品をケアしながら丁寧に扱うことが求められるのだ。歩留まりの改善に努めたことで生産技術も各段に進歩。DLCコーティングの実績が日本トップという実力は、技術開発力と品質安定性に如実に表れている。

自動車の枠を超えて、新たな市場へ
共創で切り拓く、次世代DLC技術

自動車のEV化は、DLCコーティングにも変化をもたらしている。要求事項が変化し、これまで耐摩耗性などのトライボロジー特性を高めるだけでは、DLCコーティングの優位性を保てなくなっている。注目されているのは水素ガスバリア性や電磁シールド性だ。自動車は水素社会を代表例とした次世代燃料への取組みや電動化など、技術発展はまさに100年に一度の変革期にある。摺動しながらも、水素や電磁気に影響を受けないということが求められている。トライボロジープラスアルファの複合的な価値を提供すべく、研究開発が進められている。樹脂やセラミックなど、金属以外にもコーティングしたいというニーズもあり、課題を1つずつ解決しているところだという。

ジャパンモビリティーショー2025
リバースピッチ登壇:川嵜社長
各種フォーラムをOIC(オープンイノベーションセンター)で開催
イノベーション事業部の取組み講演:高橋事業部長

「自動車を離れてみると、DLCコーティングは意外に知られていない、限定的な部分でしか使用されていないということに気付きました」と高橋氏。現在は自動車だけではない、新たな業界・分野にも積極的に領域拡大を図っている。注目しているのは食品製造機器だ。密着性の向上もさることながらDLCコーティングは炭素。人体に影響はなく、生体適合性が高いのだ。

より多くの人にDLCコーティングを知ってもらい、研究を進めていくため、同社は2024年にオープン・イノベーション・センター(O・I・C)を立ち上げた。多結晶ダイヤモンドコーティング装置、マイクロ波プラズマCVD(DLCコーティング)成膜装置を設置。さらに2025年には個体カーボンARC、HiPIMSや独立型円筒蒸着源を有する成膜装置も完備した。新規事業開発や基礎研究に広く活用してもらいたいという。高橋氏は語る。「オープンと名の付く通り、広く公開しディスカッションしながら技術を深めていきたい。実験と言いつつも、量産できる装置を置いていますので、ラボスケールではなく実装まで見据えた研究・検討が可能です。我々だけではできない、大学や研究機関、お客様などと手を取り合って、ものづくりネットワークを構築したいと思っています」DLCコーティングをより広く、深く、そして高みへと。東研サーモテックが見据えるのは、常識や過去に捕らわれない新しいものづくりだ。

2024年オープンイノベーションセンターを新設
順次整備が進められている

製品情報

  • DLC SKH ガスバリア性 自動車部品

  • DLC SUJ2 高硬度 産業機械部品

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