業界特集
株式会社アルファTKG
代表取締役社長 高木 俊郎 氏
掲載企業株式会社アルファTKG
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主要3品目
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AI&ロボ図面管理®️ソフト,ドキュメント管理ソフト
工程管理ソフト(工程NAVI),生産管理ソフト
2D/3D CAD,人工知能ソフトライブラリ
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従業員数
90人
板金企業が便利に使える図面管理システムを提供
国内製造業において「第4次産業革命」やIoT(モノのインターネット)といったワードに注目が集まりつつあった2014年に設立されたのが株式会社アルファTKGだ。同社は、AIやRPA、クラウドといった技術を駆使した製造業向け特化のIoTシステム「alfa-IoTシリーズ」などを開発している。開発部隊はインドを拠点とし、日本国内を中心にソフトウェアの直販を行っていることが大きな特色だ。
同社主力製品は、創業当初から提供してきたクラウド型図面管理システム「alfaDOCK」であり、国内大手・中堅メーカーを中心とする280社が導入している。alfaDOCKは、設計や生産技術、生産管理など社内のさまざまな製品情報をクラウド上で一元管理し、データ共有や探索などの効率向上がかなえられるシステムだ。
alfa-IoTシリーズは精密板金系メーカーのユーザーが目立つ。なお弊誌の今号における「成長企業の経営戦略」で取り上げる株式会社モハラテクニカもユーザーの1社。今もアルファTKGとともにDXに熱心に取り組んでいる最中である。
同社の代表取締役社長を務めるのが、高木俊郎氏だ。かつて機械メーカーのアマダにおいて長年にわたり海外ビジネスをけん引。退職後にアルファTKGを設立。同社がalfaDOCKの開発に着手したきっかけは顧客であるタイの精密板金企業であるジンパオから、精密板金向けの図面管理システムが開発できないかと相談を受けたことであった。インドが開発拠点である理由は、かつて高木氏と共にアマダ時代を過ごしたインド出身の工学博士で同社取締役 兼 最高技術責任者のダナ・パンディペリアサミ氏がその開発を創業当初からリードしていることによる。
板金業界の二極化にブレーキをかけるDX
高木氏は、「今後の板金業界は、二極化が進む」と見ているという。「中国市場の減速を考慮しても中規模以上の企業にとっては悪くはないといえる現状。一方、小規模の板金企業は後継者問題や人手不足など事業継続面で課題をかかえています。精密板金は多品種少量生産が多く、原価に対する材料費率が小さい。それ以外の部分には、人手による段取りやバリ取りなど後処理の工数が多く含まれます。そうした作業を自動化することが有効です」。
属人化された業務が多い精密板金の世界にとって、「協働ロボットとAIの活用が極めて有効」であると高木氏。人とロボット、それぞれが持つ欠点と利点を補完しあいながらのコラボレーション作業が可能な協働ロボットや、「10年以上の修行が必要」とされてきたような技術習得の期間を大幅短縮することなどにつなげられるAIといった技術が、これまでの精密板金業が得意としてきたアナログな人の技術や、過去の技術的遺産を活かすことにつながるからだ。
2024 年は「AI と協働ロボット」に注力
2024年は、アルファTKG設立10周年。2024年の注力テーマが「AIと協働ロボット」であり、多くの製造系企業が悩む人手不足の問題解消を強力に支援していく。その1つがすでに販売好調な「alfaJULIA W1500」。レーザー溶接機と協働ロボット、AIを組み合わせたシステムで、現場主導型で導入・活用できる。溶接前のティーチングでは従来のようにCAMを使用せずに協働ロボット自身が直接、10分程度で行う。また、熟練技術者の溶接可能ノウハウもシステムの中に取り込めてロボットの作業で生かすことができ、なおかつ「溶接 NAVI」の機能で適切な溶接条件や手順をナビゲートする。
またこれまで直販を主としてきた同社であるが、今後はそれをベースにしつつパートナー企業との連携を強化していくという。これまでの直販とプラスしてユアサ商事株式会社とのパートナーシップで、過去の製品と比較して廉価で、さらに手軽に導入可能なAI図面管理システム「alfaPRIMO」を提供。精密板金製造企業において規模の大小に関わらず、DXの入り口として即実現できるシステムとして業界での普及を計画している。
ロボットによる自動溶接の様子