業界特集
株式会社エステーリンク
代表取締役 齋藤 隆範 氏
掲載企業株式会社エステーリンク
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主要3品目
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パイプレーザー加工
ファイバーレーザー加工
ファイバーレーザー溶接
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従業員数
95人
燕市の地場産業とともに生まれたバリ取り機
新潟県燕市は「磨きのまち」。カトラリーをはじめ、鍋や、ざるといったあらゆる金属加工が盛んで、「燕」というブランドは全国に知られている。金属加工に欠かすことのできない磨き工程では多くの粉塵が発生する。この粉塵を除去するために必要な集塵装置メーカーとして発展してきたのが株式会社エステーリンクだ。
集塵装置および接続ダクトの製造には、金属板の切断が必要だ。そこで同社は新潟県で初めてレーザー加工機を導入。従来持っていた溶接技術と、まだ近隣にはないこの設備を地場産業にも生かすべく板金加工にも業種を広げた。こうして同社は、さまざまな板金加工に必要な設備と技術を研ぎ澄ませていった。
板金加工をする中で、バリ取りは必ず発生する工程だ。しかしバリ取りは生産性が上がらず、人手がかかる。それにもかかわらず対価を要求しづらい。バリ取りは板金加工のネック工程だった。そこで同社はバリ取り機の開発を決意した。代表取締役の齋藤隆範氏はこう話す。
「もともとあった集塵装置のノウハウと、地場の研磨技術を集積させて自社開発したのが当社のバリ取り機です」。集塵装置で培った空気を使う能力を最大限に生かし、粉塵を除去するだけでなく、ワークを吸着させ固定する。さらに同社のバリ取り機は、どの位置にワークを置いても、均一にバリ取りが可能だ。現場目線で現場のために作られた機械のため、使い勝手にも工夫がされている。しかし当初は、あくまで自分たちの悩みを解決するための手段であったという。そんな中、工場見学に来社した取引先がバリ取り機に目を付け、「当社にも作ってほしい」と依頼があった。「自社の悩みは他社も同じなのではないか」――こうして、エステーリンクはバリ取り機の製造販売を行うこととなった。
工場の潜在ニーズを取りこぼさない
メタルエステ、メタルハンズ、メタルタッチ、メタルスライダーなど、バリ取り機はサイズや種類を豊富にラインアップする。これはいかなる客先でもそのニーズを取りこぼさないためだ。日本の製造業は大手メーカーだけではなく、小規模な鉄工所も多い。全ての工場が全自動化できるわけではなく、「大きな機械では建屋に入らない」という工場も多い。自動化にも対応しつつ、手作業を必要とする機器のバリエーションも取りそろえている。「情報のキャッチアップを大切にしています。お客さんはどういうことに困り、どのようなサイズや機能が求めているのか。ビジネス目線ではなくどうしたらお客さんは喜んでくれるのかを考えます。ニッチな作業のニッチな業界ですが、わが社にとっては大切なパートナーです」と齋藤氏が話すように、現場の声に耳を傾ける姿勢は、同社も板金加工を行う「同業者」だからこそ。客先の声に耳を傾けることで見えてくる、潜在的なニーズまでをも掘り起こしているのだ。
現在では展示会にも多く出展している同社だが、当初は営業マンすらいなかったという。しかし齋藤氏は「自分たちをPRすることで発信していかないとだめだ」と感じ、プレゼンス力に磨きをかけていった。世界の最新情報を入手したり、自社製品の手応えを肌で感じたりするためにも展示会は有効だという。
工場設備はオールパッケージで
同社は集塵装置から始まった会社のため、板金加工だけでなく配線や配管、ダクト工事もお手の物だ。「工場内の環境や導線の改善まで含め工場の設備関係はオールパッケージで任せてもらえたら」と齋藤氏は胸を張る。現在同社が取り組んでいるのは工場内環境の改善だ。集塵装置で培った技術を用いて開発された、溶接のヒュームを吸い取るシステムや工場内の空気清浄機などを押し出している。作業者の安全や健康、周囲の環境への配慮が求められていく昨今の状況の中で、今後注目されることが期待される分野だが、まだまだ認知が進んでいないとのことだ。齋藤氏は「既に、大手企業では動き出しているところだが、市場は大きい。どこまで当社が入り込めるか。そこにかける情熱は大きいので、バリ取りでつながったお客さんたちにも、どんどん知ってもらいたい」と熱を込める。エステーリンクは現場目線で工場全体の改善まで提案する。