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​​熱処理メーカーが手がける高品質接合  ―顧客のニーズに合わせ、最適な接合方法を提案​ 

​​熱処理メーカーが手がける高品質接合  ―顧客のニーズに合わせ、最適な接合方法を提案​ 

株式会社 アイ・シイ・エス

掲載企業株式会社 アイ・シイ・エス

主要3品目
  • 熱処理

  • コーティング

  • 溶射

 ​​株式会社アイ・シイ・エスは神奈川県と栃木県と新潟県に拠点を持つ熱処理メーカーだ。1973年の創業以来50年以上にわたり、熱処理・コーティング・溶射を3本柱に自動車・航空宇宙・電子機器など幅広い業界のニーズに柔軟に応えてきた。熱処理炉を知り尽くした同社は、その知見を活かし金属の接合加工も手掛けている。その代表となるのが「拡散接合」だ。​ 

​​金属を固体のまま接合する「拡散接合」とは​ 

 ​​拡散接合とは、2つの金属母材に荷重をかけながら不活性ガス中で加熱することで、それぞれの境界面を超えて金属の結晶を成長させ「金属を溶かさずにくっつける」技術だ。拡散接合ではそれぞれの母材の金属原子が直接密着し「染み込む」ことで一体になる。溶接やロウ付けなど表面に異物を介する接合方法に対し強度や耐久性が高くなるほか、母材を溶かさないため変形や熱影響が比較的小さいというメリットもある。金属原子の相互拡散を利用するため、通常接合が難しい異種金属同士の接合も可能となる。​ 

​​汎用炉を用いた拡散接合でコストメリットを実現​ 

 ​​加温と同時に加圧も必要とする拡散接合では一般的に、ホットプレス炉やHIP(熱間等方圧加圧装置)といった大規模な設備が必要であり加工費用が高額となる。株式会社アイ・シイ・エスではこれを汎用の真空熱処理炉で行う方法を確立し、低コストでの接合加工を実現した。「汎用真空炉内で治具を用いて加圧する泥臭い方法ですが、その分低価格で対応できます」と担当者は説明する。同社が持つ多種多様な真空熱処理炉の中から、製品形状や個数に応じて最適なものを選ぶため、最適価格を提示できるのだ。​ 

 ​​低価格で量産できるメリットを生かし、同社が主に手がけているのが産業用プリンター向けのインク流路部品だ。微細エッチングされた複数枚のステンレス板を積層し、内部にミクロン単位の流路を形成するこのような部品制作において、溶接やロウ付けは内部流路が変形したり埋まってしまうリスクがあり品質管理が難しい。3Dプリンターの使用も考えられるが、積層時に空隙(ボイド)が発生する可能性があるため後加工が必要になる。「微細流路を持つ製品では、少しでも隙間があるとインクが漏れてしまいます。このような部品では拡散接合が最も品質を担保しやすい接合方法となります」と担当者。同社ではX線や抜き取りでの破壊試験に加え、航空宇宙業界との取引で培った炉内の温度均一性維持ノウハウを生かし、大量生産においても安定した品質を実現している。​ 

​​専用設備に頼らない柔軟性―「作りたいもの」に合わせた接合方法を提案​ 

 ​​株式会社アイ・シイ・エスの強みは、単に汎用炉での拡散接合を実現した点にとどまらない。同社では、真空炉内でのロウ付けにも対応している。「形状によってはロウ付けのほうがコストメリットが大きい場合もあるため、お客様の作りたいものに合わせて最適なものを提案しています」と担当者。専用設備を持たないことで、顧客の作りたい製品と数量に合わせて最適な接合方法を都度提案できることが最大の武器なのだ。​ 

​​ 同一製品の大量生産が主力の同社だが、試作や研究目的での小ロットの相談も受け付けているという。「異種材の接合など、チャレンジングな案件でも最適な方法をご提案します。ぜひ一度ご相談ください」と担当者は意気込む。​ 

​​ 決して最新のやり方ではないものの、汎用設備を使いこなすことで大きな付加価値を生み出す株式会社アイ・シイ・エス。実直な努力と技術力で、今後も顧客の課題を解決していくだろう。​ 

製品情報

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