
業界特集

株式会社三幸(富山県高岡市)
掲載企業株式会社三幸
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主要3品目
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ネジ抜き・ホットランナー・多数個取り射出成形用金型
PPS・フッ素などのスーパーエンプラ射出成形用金型
プラスチック量産成形
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従業員数
25人
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年間売上高
- 3億円
株式会社三幸が富山県高岡市で創業したのは1967年。地元企業のアルミ製品に使用される樹脂部品の金型を製造する会社としてスタートした。その後、時代の流れに乗って、大手メーカーの家電や自動車部品の樹脂部品など、さまざまな業種の金型を製造してきた。リーマンショックで工業部品が大きく落ち込むと、医薬品の容器や医療機器関係にも着手。各業界に対してバランスの良い体制を取ったことで、コロナ禍でも経営に大きな影響は受けなかったという。現在は食品や医薬品、化粧品などのプラスチック製容器の金型などを多く製造している。
同社では2014年に180tの試作用射出成形機を導入し、2022年から成形専用工場を新築し射出成形事業を拡張した。試作だけでなく、量産にも対応する。実際にトライに立ち合うことができるため、客先に安心感を持ってもらうことが目的だ。修正にもすぐ対応できるため、開発スケジュールの短縮にも貢献する。金型に付加価値をつけることで、既存の取引先だけでなく新規の客先を取り込みたい考えだ。金型は新規取引先の開拓が難しい。知り合っても実際受注につながるのは数年後ということも珍しくない。そのため同社では展示会への出展のみならず、ブログやYouTubeやInstagramでの発信にも挑戦し、さらに間口を広げていく。工場見学も受け入れており、メーカーだけでなく、銀行などの取引先からも好評だという。また、工場スタッフにも良い緊張感をもたらしている。
「一昔前は金型の修正が増えると利益が減ると言われましたが、今は赤字が増えます。そのため、なるべく修正がないような金型作りに取り組んでいます。他社製の図面のない古い金型を作り変えるという依頼でも、元の金型を借りて、製品部を三次元測定機やマイクロメーターやピンゲージを使って採寸して、無駄な修正回数を減らす工夫をしています」と代表取締役の窪田彰克氏は語る。こうした地道な取り組みや丁寧な仕事こそが、取引先の信頼へと繋がっている。
容器包装などの成形品は多数個取りが主流だ。生産性を上げるために取り数を増やしてほしいと言う客先の要望に応えるため、2024年3月にはYASDA製YBM9150Vを導入。加工精度の向上だけでなく、ワーク面が大きくなるため効率化や生産性向上も期待できる。同社は補助金制度をうまく利用しつつ設備投資にも積極的だ。「使えるものは何でも使います」と窪田氏。太陽光発電の導入をはじめ、CO2の削減など環境配慮への対策にも余念がない。今後の目標として、多数個取りのノウハウも生かしつつ、微細分野にもチャレンジしたいという。時代に合わせ、しなやかにフレキシブルに対応していく。令和の中小企業の在り方がここにある。

量産成形にも対応している。

