業界特集

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リバースエンジニアリングで修正なしの金型製造を実現

リバースエンジニアリングで修正なしの金型製造を実現

株式会社吉田金型工業(愛知県大府市)

掲載企業株式会社吉田金型工業

主要3品目
  • ダイカスト金型設計・製作

  • 各種金型部品製作

  • 各種金型メンテナンス

従業員数

65 人

年間売上高
10 億円

 「金型に関しては全てフォローしたいと思っています。試作から廃棄まで全てが責任範ちゅうです」― 株式会社吉田金型工業代表取締役社長の𠮷田正生氏はこう語る。同社は自動車部品のダイカスト金型を得意とするメーカーだ。特にハイブリッド自動車の開発前から𠮷田氏が注目して研究を進めていた放熱に関する薄リブ加工は、同社でなければ加工できないと顧客から評価されている。喧伝されるEV化の風潮にも揺らがない。大手メーカーと長く取引があり、信頼を勝ち得て試作やテスト段階から入れるからこその強みだ。

 金型は新規開発だけでなく更新型・増型も多い。実際に使用されていた金型を調べて歪みの傾向等を掴むことで、図面通りではなくすでに実績のある型そのものを再現する。こうしたリバースエンジニアリングの取り組みによってトライの回数を圧倒的に減らしているのだ。製品によってはほぼ修正なし、一発合格で量産に入る金型もあるというから驚きだ。

 さらにメンテナンスにおいても、ショット数を聞き、金型が熱膨張によってどのように変形するかといったデータを収集し、蓄積。新規型においてこれらのデータを生かした開発を行っている。「まだまだ金型でやれること、できることがあります」と、𠮷田氏の言葉は頼もしい。

 金型業界において、職人たちの経験や技術をどのように継承するかは共通の課題だ。同社ではすべての金型の切削条件、修正履歴などをデータベース化している。𠮷田氏いわく「職人の頭脳のデジタル化」を行っているのだ。目指すは職人とITのいいところ取り。さらに職人の経験や技能に頼り切るのではなく、誰が見てもわかる手順書の作成を心掛けている。将来を見据えて蓄積されたデータはまさに同社の財産と言えるだろう。

 𠮷田金型工業は金型の製造だけでなく、装置の開発も行っている。これまでダイカスト金型の薄肉成形のために型内の真空度を高める必要があった。だがそれを納品前に自社で確認することができなかったため真空度測定装置を開発した。自分たちが不便だと思うこと、必要だと思うことを自分たちで解決するために開発しているのだ。こうした自社製品は営業ツールとしても活用され評価も高い。同じ顧客を相手にしている同業者たちと反目し合うのではなく、設計データを共有し合うほどの協力体制を構築している。共同で展示会の開催も実現した。金型業界も今後重要になってくるのは自己PR力だ。𠮷田氏の目には、新しい金型業界のあるべき姿がもう見えている。

磨き作業は自社開発のマルチターンテーブルで行う
トライ回数を減らすリバースエンジニアリングの取り組み
代表取締役社長 吉田 正生 氏

製品情報

  • 【リバースエンジニアリング】ダイカスト用金型の修理・復元

  • モータージェネレーターハウジングのダウンサイジング化

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