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国内金型企業の『良いものを作る』挑戦の長い旅路を支える超精密加工機

国内金型企業の『良いものを作る』挑戦の長い旅路を支える超精密加工機

株式会社ナガセインテグレックス
代表取締役社長 長瀬 幸泰 氏

掲載企業株式会社ナガセインテグレックス

主要3品目
  • 各種成形・平面研削盤

  • 超精密門型研削盤

  • 超2精密加工機

従業員数

138 人(正社員数)

失われなかった 20 年

 既成概念にとらわれない発想力と技術力が世界的に評価される、機械製造業の株式会社ナガセインテグレックス(ナガセ)。同社を代表する超精密門型研削盤「SGDシリーズ」の他、鏡面研削の自動化やAI砥石観察・解析装置「GRIDEEYE」の開発など研削加工のためのDXにも意欲的に取り組む。

 ナガセの歴史が始まったのは、1950年。以来、約70年間で数々の精密加工機を開発し、成長を遂げてきた同社。「1991年のバブル崩壊後には(日本経済の停滞期である)『失われた20年』がありましたが、私たちには『失われなかった10年、20年』だったのです」と同社代表取締役社長の長瀬幸泰氏は話す。

 1980年頃から参入した超精密加工機開発が徐々に市場に定着していったためだ。「オイルショック以後、他の国内工場が低コストな人件費を追い求めて海外シフトする中、当社は『規模と数の拡大を追わない』と決めて、多品種少量受注生産にシフト。周囲からは反対を受けました。当時課題だった測定設備を整備し『原理原則に基づいた、業界に必要になり得る技術』の開発に10年間かけてじっくり取り組み、その結果が実を結びました。これが『第2の創業』です。しかし、2008年のリーマンショック、2011年の大震災により、国内市場の状況は一変しました。2012年には『第3の創業』が必要になりました、不思議なことに、約30年の周期で変革が求められています。再び10年に及ぶ新たな価値の創造が必要になりました」。

 そして2020年にコロナ禍に突入したころ、自動車業界はガソリンから電気駆動に大きく舵を切り、生活や業務のデジタル化が加速したことを味方に半導体業界が活性化。ナガセはその流れを受けて需要増に。今後は、海外の販売比率を現状よりも増やしていく計画だ。

良いものを、適正価格で売る

 「海外のお客さま企業と話をする中で、日本の金型企業における技術レベルの高さと、金型の高品質さを実感しました」と長瀬氏は話す。彼ら(特に欧米)は安価な海外拠点に生産を移しても、やがて「これは日本でしかできない」と戻ってくることも多い。ナガセが金型業界に提案しているのは、「金型の高性能化と高寿命化と、新たな価値の創造」だ。こうした提案を受け、「例えば、従来と比べ3倍高機能、あるいは3倍高寿命な金型を作ったとしても、3倍の価格で買われるわけではない」と嘆く顧客もいる。長瀬氏は、「3倍でなくても従来の2割、3割高い価格で売れていくべき」と考える。

 「原理原則に忠実で、良いものは、市場に送り出そうという時に『それではもうからない』などと批判されようとも、いずれ受け入れられて需要が伸びていくことを、当社も砥石バランサーの開発・販売を通じて体験しました。業界構造上の問題があり悩ましい課題ですが、『良いものが、訂正な価格で売れていく』という商習慣が日本のものづくり業界の中で、もっと育まれていってほしいと感じます」と長瀬氏は言う。

 「工作機械は、実際には、償却年数以上の20年、30年と長く使われています。初期投資だけではなく、もう少し長い目でトータルコストを考慮して設備投資価格と向き合うこと。帳簿上の見かけの利益や成長よりは、自社の継続的な競争力や未来への対応力についての判断に力を注ぐ。それが大事だと私自身は感じます」。長瀬氏は、その思いを裏付ける1つの例を話してくれた――かつてブラウン管テレビから液晶テレビに移り変わった2000年前後。液晶テレビ向け精密部材を生産するため、周囲に「高い」と反対を受けながらもナガセの機械を購入した金型製造企業がいた。導入後しばらくして海外生産シフトの打撃を受けながらも、再び国内回帰した液晶テレビ向け部材の製作で育てた技術を磨き続け、そして十数年の時を経てEV需要の高まりでその技術が存分に生きる形となり、すさまじいほどに多忙を極めているという。同社の現場とともに長い時間を過ごした、価値の変わらないナガセの機械が、そこで活躍している。

 「ナガセの機械は長く使い続けても精度や機能だけでなく価値が陳腐化しません。長年使用する中でアップデートしていけます」と長瀬氏。今後は、自社で取り組むIoT技術を用いて予知・予兆保全システム開発などにも取り組む計画だ。ナガセは『良いもの』を、ずっと創り続けられる超精密切削技術をもって、金型業界における挑戦の旅路に伴走していく。

NSL-200(左)、NIC-74(右:ヘッドと加工部分):サブナノ分解能の超高機能マシンが先進金型の製作に貢献。

超精密門型研削盤「SGD-3012・4012」:大型プレートの超精密・高効率な研削加工を実現。内部にはトポロジー最適化による独特な形状をした機構部品がある。日刊工業新聞社主催「第66回十大新製品賞」の「モノづくり賞」など受賞。
「GRIDE EYE」:砥石の回転中に砥面を高速撮影し、AI解析で不具合の予測や適切なドレスタイミングのアドバイスなどを行う。

掲載会社情報

株式会社ナガセインテグレックス

株式会社ナガセインテグレックス

所在地
〒 501-2697 岐阜県関市武芸川町跡部 1333-1
TEL
0575-46-2323
FAX
0575-46-2325(代表)

製品情報

  • 超2精密微細加工機 NIC-74

  • 自由曲面への微細溝入れ加工(同時6軸0.1ナノ制御)

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