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OEMで日系メーカーを支える「黒子」―ロボットや成形機のコアを担うKEBA Japanのソリューション 

OEMで日系メーカーを支える「黒子」―ロボットや成形機のコアを担うKEBA Japanのソリューション 

KEBA Japan株式会社

掲載企業KEBA Japan株式会社

主要3品目
  • ハンドヘルドターミナル

  • 産業用ロボットコントローラ

  • 産業機械向けタッチパネル

従業員数

13名

日系ロボットメーカーで多数活躍―KEBA JapanのOEMソリューション 

 日本のロボット産業をOEMソリューションで支える企業がある、それがKEBA Japan株式会社だ。 2011年にKEBAグループの日本法人として同社が事業を開始してから、今年で14年が経過した。現在の主力は売上の約8割を占めるロボット向け製品と、残りの約2割を占める射出成形機向け製品。どちらの領域も、動力となるサーボモーターからコントローラー、さらにはティーチングペンダントや操作パネルなどのHMI(Human Machine Interface)まで幅広くソリューションを提供している。 

 「我々が日本市場に参入したころは、製品の要となるコントローラーやHMIはどのメーカーも内製に強いこだわりを持っていました。しかし今では、製造業を取り巻く人手不足と、オープンイノベーションの加速で状況は変わってきています」と同社代表の村上氏。人的リソースが逼迫する中でも各メーカーは開発スピードを維持し、次々と新製品を送り出さなければならない。そのような状況下で、世界中のメーカーにOEMとしてコントローラーやHMIを供給するノウハウを持つKEBAグループの製品には、大きなスケールメリットがあるのだ。 

 様々なメーカーの「コア」ともいえる部分に同社製品が採用される理由は、スケールメリットだけでない。同社の提供するコントローラーには、ロボットや成形機のタイプ別に膨大なプリセットがあらかじめ用意されている。各メーカーはこのプリセットから目的のタイプを選択し、仕様に合わせてわずかなカスタマイズを行うだけで組み込むことができる。この汎用性の高さも同社製品が持つ大きな強みだ。近年ではノーコード化の潮流に合わせて、プログラミングなしでもコントローラーの動作をカスタマイズできる機能も提供している。 

 同社は自社を各メーカーの「開発パートナー」と位置付け、これらの技術をターンキー(鍵を回せばすぐに使えるような状態)で提供することで各メーカーの開発負荷を下げるよう取り組んでいる。これにより、各メーカーは細かな付加価値機能やUIデザインといった差別化の要となるポイントに開発リソースを集中投下できる。また同社では単にKEBAの製品を販売するだけでなく、自社でアプリケーションエンジニアを擁することで日系メーカーからの細かなニーズにも応えている。今後はこれらの取り組みで射出成形機向けのOEM供給をさらに伸長させ、売上に占める割合を増やしていくという。 

ATMから風力発電へ―KEBAグループの技術 

 KEBAグループの技術の原点は、PCB製造にある。「信頼性の高い基板を作る技術」と「高度なセキュリティを担保したソフトウェア技術」の組み合わせを核に、産業向け機器とともに、ATM事業にも事業領域を拡大してきた。これらの技術を活かし現在では、宅配ロッカーや風力発電向けのピッチ制御システムも手掛けている。後者は特に高い信頼性を要求される領域だが、KEBAグループの持つ技術力と高いセキュリティによって世界トップクラスを占めている。 

 これらの事例からも分かるようにKEBAグループの製品は欧米基準の極めて高いセキュリティと信頼性を持ち、国際規格のISOやIECにも常に適合している。直近では、2024年に発布されたEUのサイバーレジリエンス法(CRA)にも迅速に対応した。BCP意識の高まりを受け生産設備のセキュリティが見直されている昨今、KEBAグループの製品が持つアドバンテージは大きい。 

AIとAGVで創る次世代の生産現場―KEBA Japanが次に狙う領域 

 ロボット、射出成形機の次に同社が狙う領域はAGVだ。AGV向けのコントローラーや48Vサーボアンプをすでに製品としてラインナップしている同社だが、このたび「EatherCAT」に対応した製品をリリースした。従来CANを用いていたAGV筐体内の伝送をEatherCATとすることで、小型・省配線化が実現するという。また、稼働するAGVに対しケーブルに縛られずに安全に操作できる「無線ティーチングペンダント」の提供も行うことで、現場の自由度を高める。 

 KEBAグループでは今年の4月にAIのスタートアップ企業を買収し、AIを活用したソリューションの開発にも注力している。一例として、AIを活用し「フローチャートを組み立てる感覚」でコントローラーの複雑な動作プログラムを組み立てられる機能を開発中だ。この機能は今後AGVのコントローラーにも展開していくという。リピータビリティが求められる製造現場はAIとの相性が悪くなりがちだが、KEBAグループでは学習済みのAIモデルを専用ハードウェア上で動作させる「AIアクセラレーター」方式を取ることでこの問題も解決。専用ハードウェアに使用する半導体チップも半導体メーカーと10年間の供給契約を結ぶことで、ライフサイクルの長い製造業向け設備としての信頼性も担保する。 

 日本に進出しまもなく15年目を迎えるKEBA Japan株式会社。ロボットや成形機を陰で支える同社の技術は、これから日本の製造業にますます不可欠な存在となっていくだろう。

掲載会社情報

KEBA Japan株式会社

KEBA Japan株式会社

所在地
〒135-0091 東京都港区台場2丁目-3-1 トレードピアお台場 10階
TEL
03-6712-9941
FAX
03-6712-9942
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