業界特集
ホッティーポリマー株式会社(東京都墨田区)
掲載企業ホッティーポリマー株式会社
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主要3品目
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3D プリンター受託加工・機器販売
3D プリンター用フィラメント製造、販売
ゴム・樹脂押出成形品製造、販売
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従業員数
102 人
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年間売上高
- 26 億5 千万円
ホッティーポリマー株式会社には3つの大きな変革期がある。ゴム履物製造会社としてスタートした同社は、1960年代にゴム押出成形を開始し、自動車の窓枠などの製造で業績を上げた。これが最初の変革だ。
しかし自動車部品の海外調達が進み、1990年代半ばにはメイン顧客からの仕事が10分の1にまで落ち込むことになる。現代表取締役社長の堀田秀敏氏は、そこでゴムだけではなく樹脂押出成形に着手した。これが今日の飛躍につながる、第二の創業とも言える変革期だ。折しも時代はダイオキシンへの懸念から、塩化ビニルが避けられるようになっていた。そこで当社は建材業界ではまだ使用実績のなかったエラストマーを、塩ビやゴムに変わる新素材として導入し大成功を収めた。同社が開発した「スベアップ」を始めとする樹脂製ガスケットは、現在でも主力製品である。
更なる事業の拡大を求め、2011年にはタイに新工場を設立。海外マーケットへ進出した。しかし2019年のコロナ禍で状況は一変。そこで始めた新しい事業は3Dプリンタ事業である。これが第三の変革期となった。
押出成形の会社が、なぜ3Dプリンタなのか。同社の3Dプリンタ事業には3つの柱がある。まず3Dプリンタのソフトウェア開発とコンサルティング。そしてフィラメントの販売だ。これまでにない柔らかいゴムのような素材のフィラメントを開発するなど、ゴム・樹脂の押出成形を行ってきた同社だからこその技術が生きている。受注加工サービスも行っており、モノづくりを現場で行ってきた当社だからこそできる包括的なサポートは客先から好評を得ている。
それまでは自動車・住宅建材業界との取引が主であったが、3Dプリンタ事業は今まで縁のなかったさまざまな業界とつながり、コア事業であるゴム・樹脂押出成形への相乗効果も大きい。長尺の3D造形にも対応しており、既存の客先にも好評だ。同社が開発したシリコーンゴム3Dプリンタは、医療業界など新しい業界で活躍の幅が広がっていくことが期待される。
また同社は有限会社スワニーの最新技術「デジタルモールド」を導入した。デジタルモールドとは射出成形金型を樹脂で製作するという新しい試みだ。3Dプリンタと切削機によって作られる樹脂型は、低価格かつ短時間で製作でき、小ロット生産に適している。
堀田氏は「心臓などの臓器を、シリコーン3Dプリンタで完全に本人と同じものを作ることができれば、いろんな分野で役立てることができる。ぜひ実現させたい」と語る。ホッティーポリマーは常に時代のニーズを読み取り、ゴム・樹脂を極めた独自の技術力で社会に貢献していくことを目指す。
工場には樹脂、ゴムの押出成形機が並ぶ